写真でひとこと

実家に帰っている。書いては消して、何を書こうか考えあぐねているうちに、なかなかいいお時間になった。はてなブログの機能の箇所をこねくり回しているうちに、昔、別のブログで使った画像がアップロードされっぱなしだったのを見つけた。それでこれは使えると思ったので写真でひと語りしていくことにする。

偶然なのかなんなのか、今日、姉の結婚式に使う写真を見繕うために僕と母は姉とビデオ通話しながら昔のアルバムを紐解いて順に眺めたりした。その時の感傷についてはまたおいおい語りたい。

 

さて、一枚目

これは東京都の西の端っこの方にある日野市の相当古いアパート。浅川という綺麗な川が流れていて、これが多摩川に繋がり都心にまで流れてゆく。ここは東京では三軒目の住居で、和室、ペット可、ベイク駐輪場あり、図書館近辺で調べてここに行き着いた。都心より気温が2℃くらい低く、富士山もよく見えた。川にはカワセミがいたし、河川敷の遊歩道を散歩する人や犬たちはいつも楽しそうだった。僕も楽しかった。ベランダの椅子に座って猫を抱えてのんびりする夕べ、快適な家具たち、安い食料品店に、ガスコンロと中華鍋。劇団もバイト先も新宿近辺だったので、ここから片道2時間かけて通勤したり稽古に行ったりした。もちろん京王線はいつだって満員電車に決まってる。

 

これは僕の住んでいた東京の片隅にある日野市よりさらに北西の端、奥多摩である。ここには何度か訪れた。大作家、浅田次郎さんゆかりの地でもある。奥多摩はとても居心地が良く、本当はこういうところで暮らしつつ、演劇関係の用事があるときだけ都心に通ってみたかった。トトロに出てくるメイとサツキのお父さんみたいな感じか。

この写真を撮ったときはY丸と山葵を食いに行ったときだったか、当時の彼女と御嶽山に登ったときだったか。

 

この二葉の写真に写っている本は実存主義と縁深い精神科医R.Dレインによる詩集『好き?好き?大好き?』である。場所は東京での二軒目の住まいであり、のちに劇団の稽古場ともなった、リノベした一軒家である。演劇なんて何も知らなかった自分が演出兼脚本をすることになり、中野がTwitterで集めてきた人たちにオーディションをしなければならないということでとりあえずこの詩を読んでもらうことにした。けれども結局気が変わって、この本の中の別の詩を読んでもらった。演劇、またやりたいなあ。

 

それより数年遡ってアメリカ旅行。どうやら載せた写真は時系列がバラバラなようだ。

軽音サークル時代からの友人Kが2年の留年を終え卒業旅行的な感じで、当時山口県で薄給のWEBライターだった僕をアメリカ旅行に誘ってくれた。二つ返事をしたはいいが金がないので急いで仕事を辞めて鉄工所で働き始めた。そこで僕は人生が変わる出会いをすることになる。さて、この旅のことを振り返ると、それこそ一つは小説が書けるだろう。1ヶ月まるまる使って毎日何百キロもレンタカーを走らせた。アメリカ大陸は美しかった。初めて行ったのになぜか懐かしさや安らぎを感じた。楽しい旅だった。

心配性のKは僕がハンドルを握ると、たちまちスピードがどうとか車線がどうとか絶えず気になり始めるようで全然運転させてくれなかったから、二日目以降はずっと助手席にいた。僕らはずっとハッピーなままで居心地が良く、喋ることがなくなったらひたすら本を読んだり、タバコを吸ったり、音楽を聴きながら山や街並みや隣の車線の車中にいるアメリカ人をぼうっと眺めたりした。

 

鉄工所勤務時代、暇だったので手帳に落書きした川向いの工場プラント。下手すぎて伝わりゃしないだろうけど、これぞまさに宇部(故郷)って感じ。